親と子。
親子の関係は、人それぞれ。
でも、多くはこの親子関係から沢山のことを学ぶことになっているように以前から思っている。
先日、歌手の高橋真梨子さんのこれまでの人生を取り上げた番組を観た。
そこには、母を憎んだ49年間と書かれていた。
現在、彼女はどんどん体重が落ち、体調が良い日は年に2回ぐらいしかないそうだ。私もたまにテレビで拝見した時にとても痩せたなと思っていた。
その番組でその体調不良の原因は、「母との過去のトラウマ」と言っていた。
幼少時代に父親が病気で両足を切断。その後の生活費、薬代、通院費を稼ぐために母親は夜に水商売を始める。父親は自分が負担になっていることに耐えかね、別居、その後離婚。母親は、お店に来る見知らぬ男性と不倫関係になり、暴力を振るわれアザだらけになってもその関係を止めようとはしなかった。そんな状況を受け入れられず、母親を憎み始める。その後頼りにしていた父親は37歳の若さで他界し、どんどん孤立していく。
そんな中、唯一の楽しみは歌。
歌に目覚め、九州、東京と実力が世間に知れ渡り、その後数々の賞を受賞し有名になり、今も不動の歌声を伝え続けている。
しかしデビューしてからも母親との関係は仕送りだけで、ほとんど連絡を取らず、ずっと憎み続けていたという。
そして、1998年に母親の体からガンが見付かり、余命半年という連絡を急に受ける。
暫く会っていなかった母親は、ガンに冒され弱りきっていた。
その時、母親を東京に呼び一緒に暮らすことを決め、仕事以外は付きっきりで看護をします。
しかしその甲斐も虚しく、16歳で上京して以来の母親との新たな生活はたった4ヶ月で終わってしまいます。
遺品整理に母親の自宅に訪れると出演した番組を撮り溜めた膨大な量のビデオテープと雑誌のスクラップブック、一度も手が付けられていなかった仕送りの通帳がそこのありました。
今、彼女は母親にしてきたこと全てのことに申し訳ない、もっと二人の時間があったら体のことも気遣ってあげれていたのにと深い後悔の気持ちでいるそうです。
親子の関係は、とても切ないものだと思いました。
とても近くにいて、見たくない人間の本質ややってはいけないことでも親子なら許されてしまうこともある。
そして、近すぎるがゆえに、遠くに追いやってしまいたくなることもある。
でも、親の歳になってみて、親を失ってみて、その理不尽さの中に理解できてしまうものを見付けてしまう。
そんな、どこかぎこちなく、憎みきれないものが親子なのかなと。
そんなことをこの番組を観て感じました。
そして、壮絶な人生を公にして下さり、考えるきっかけを与えてくれた高橋真梨子さんに感謝したいなと思います。
親子関係は、人それぞれ。
どんな理由であれ、そこには自分の決めた大きなテーマが隠されているのでしょう。
それがなんなのか、それは一生分からないものなのかもしれない。
ただ親をいつも頭の片隅に感じながら生きていくことが、既に壮大なテーマを全うしていると言うことなのかもしれません。