nature’s diary

日々感じていること・ボディートーク療法・心ヨガ・身体と心の話・

父の旅行記。



今年70歳を迎えた父が、一冊の旅行記を書きました。
表紙には『十八歳の夏の思い出 蝦夷路』と書かれています。

今年に入り、何やら父が書き物をしていると母から聞き、実家に帰ると度々パソコンと睨めっこしている姿を見ることがありました。
何を書いているのか、気になりはしたものの、あまり触れる事もせず、でも完成が楽しみでもありました。

この旅行記は、父が高校生最後の夏休みに、同級生4人と行った北海道横断旅行の内容を小説風に書いた物でした。
リックに、食料や自炊用品、テント等を詰め込み、故郷新潟から青函連絡船に乗り北海道へ。
そこからは、当時の国鉄学割・北海道周遊搭乗券を利用し、野宿や宿泊交渉をしながら旅した12日間の記録でした。

父の性格が表れる堅い文体で少々読みづらさも感じましたが、所々学生にありがちな面白エピソードもあり、意外な父の一面を見たような気持ちになりました。

読み進めて行くと、バスや電車などの出発時刻や運賃、旅の途中で食べたラーメンやカツカレーの値段が正確に書かれていて、何故50年以上も経っているのに、分かったのだろうかと疑問に思ったのも束の間。
直ぐに私の父との思い出と繋がり、理由が分かりました。

私は家族で旅行に行くと、必ずメモ帳に旅の記録を父に言われて書かされていました。
出発地、出発時刻や到着時刻、観光場所等々…。
当時の私は、学校の延長の様なこの係が好きではなく、細かく直されたりする事に面倒臭さを感じていたのですが、この冊子を読み、父の記録好きが18歳の時に既にあったと分かり、何か合点が行く気持ちになりました。
そして、この冊子を書く際に、父の物好きも一役買ったようです。

父はこの旅行記を書くに当たり、一緒に行った同級生の記憶も借りながら書いたようで、ちょくちょく新潟へ楽しそうに帰っていたのはこの為だったのかぁと思い出しました。
きっとその同級生と当時の思い出話に花が咲いただろうと想像すると、微笑ましく感じました。

父はこの後高校卒業と同時に上京します。
50年以上前の日本、今よりも距離を感じる時代です。
この旅行は、父にとって、進路、新しい土地へ行く事への勇気に繋がったと書いてあり、その大切な思い出を70歳を機に残して置きたかったのだなぁと感慨深い気持ちになりました。

そして、その記録一冊にまとめ、家族一人一人に手渡してくれた事に、父の想いを感じました。
当たり前ですが、父にも18歳の時があったんですよね。
18歳の父が、本の中で青春を謳歌する姿に少し羨ましさも感じた読書の時間でした。


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