なにか一つ好きなこと。
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みんな一緒じゃないとと思い込み、いつしか当たり前になっていた。
学校も両親も大人もみんなそうだった。
自分の個性は、一体どんなものなのか…。
そんな壁にぶつかったこともあった。
妹に薦められて、先日BSスペシャル「僕の自学ノート」を観た。
今は高校生の梅田明日佳くんの小3から書き始めた自学ノート(新聞や訪れた場所から興味のあるものを取り上げ取材感想を書くノート)のことが取り上げられていた。
彼の書く文章は、数々の賞を取り、昨年の「子どもノンフィクション文学賞」で大賞に輝いた。
明日佳くんにとって学校はつまらなく、窮屈な場所のようで、学校が終わると直ぐに家へ帰り、このノート作りに取り組んでいたと言う。
彼は、好奇心旺盛で、素直で、正直で、丁寧で、積極的な人だと思ったが、でも、そんな彼のことを学校のみんなは知らない。
けれど、自分の興味のある人や場所での出会いは豊かで、繋がりはとても強かった。
彼は、自学ノートを好きでやっていたけれど、自分の感覚や感性を外から守るために、自分の気持ちを保つためにやっているようにも観えた。
みんな一緒。
安心感があるようで、とても怖い言葉だとも思う。
自分で自分の個を潰さないように。
そんなメッセージを受け取った気がした。
明日佳くんのお母さんが、彼に送った言葉が、番組のラストを飾っていた。
福岡伸一さんの書かれた本「ルリボシカミキリの青」の一節だそうだ。
今君が好きなことが、そのまま職業に通じる必要は全くないのだ
大切なのは、何か一つ好きなことがあるということ
そして、その好きなことが、ずっと好きであり続けられることの旅程が
驚くほど豊かで
君を一瞬たりとも、飽きさせることがないということ
そして、それは静かに君を励まし続ける
最後の最後まで励まし続ける
私はこれを子どもの頃の私に送ろうと思う。