nature’s diary

日々感じていること・ボディートーク療法・心ヨガ・身体と心の話・

松本先生。

 

私は中学の時、国語の松本先生の授業がとても楽しみだった。

先生は、当時既に白髪で歳はとっていたものの、教壇に立つ姿は若く、背筋がピシッと伸び、強い眼差しで生徒たち一人一人を見ながら、エネルギーのある声を教室に響かせていた。

かといって、堅苦しい授業ではなく、授業内容はバラエティーに富んでいて、毎回内容が異なり教科書があってないような授業だった。

そんな松本先生の源は、きっと太平洋戦争中、東南アジアの戦地で戦った経験にあるように思う。

授業では、戦時中の話にも度々触れることがあった。

その話は十代ちょっとの私にはとても想像できるような内容ではなかったけれど、小説を読んでいるような、とても興味深い話だった。

 

中学三年の卒業間近に、先生が私たちにカードを渡してくれた。

それは、今でも大切にとってある。

そこには、直筆で『今を生きろ!』と言うメッセージが書かれてあった。

戦争を体験し、明日があるか、ないか分からない時間を過ごした先生だからこそ出た言葉なのかもしれない。

 

最近、今を生きるって難しいことだなと思っていた。

私たちは、過去に起こったことを後悔したり、悔やんだり、恨んだりする。

そして、まだ起きていないことに対して不安になり、心配になりあれこれ労力を使う。

一日のうち、今この瞬間にどれだけ向き合っているだろうか…。

 

私自身も今を生きることはなかなか出来ていないけれど、仕事をしている時は唯一今を生きているような気持ちになれる。

クライアントさんに寄り添い、向き合うことは、今に集中していないと出来ないことだと思うからだ。

仕事を通して、今を生きろ!今を生きる!を体現出来たらいいなと思った時に、ふと松本先生のことを思い出した。

 

中学生の私に響いた言葉が、やっと何か意味を持とうとしているのだろうか。